王子駅を降りると、折しも飛鳥山公園は満開の桜。 当日は良い天気で、お花見の真っ盛りでした。 右手には、夕闇に沈みつつある北トピア。 石原良純は吉とでるか凶とでるか。 ワクワクします。 |
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北とぴあ つつじホールは、 こじんまりとして芝居を観るのには丁度よい広さです。 このホールが出来る前によくつかっていた両国の シアターχ(カイ)もよいホールでしたが、 ここは、さすがはつかこうへいが腰を据えたホールです。 そういえば、両国も王子もなんだか似たような街、 と云う感じがしせんか。 ちょっと猥雑でごみごみして活気があって 古き良き日本のダウンタウン、といったところでしょうか。 |
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役者は、なかなか良かったです。 石原良純は、不思議な貫禄があります。 こういうのを血筋と呼ぶのでしょうか。 鈴木祐二は、北区つかこうへい劇団のまさに看板に なってきました。 「銀ちゃんが逝く」での、テレビあがりの監督役への抜擢も 良かったですが、今回の榊原刑事は演るべくしてやった、 と云う感じでした。 北区のジャニーズ系、安村和之も出ていました。 彼は良いです。華があります。 今年8月に紀伊国屋ホールで演る「ロマンス」はおすすめです。 |
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しかし、芝居の内容はというと ぐっーと重たかったです。 バブル崩壊、オーム、神戸大震災、 それに続く中学生の事件、 芝居の中の虚構よりも、よほど虚構らしいこの日本で、 一番大切なものは人と人とのピュアな愛情だよ、 と言い続けてきたつかこうへいも、 とうとう取り上げざるを得なかったのでしょう、 犯人大山金太郎は、原発事故での被爆者、 榊原刑事は、なんとあの神戸サカキバラ少年の 成人した姿、と云う設定でのお芝居なのです。 最後には、志半ばで自ら命を絶つ石原伝兵衛。 その遺志を継ごうとする鈴木水野婦警も、 その意志を絶たれる。 「どんな事があっても最後はハッピーエンドにするのが 銀幕のスターさんの力だよ。」 と云うつかこうへいにして、このエンディング。 やはり時代の閉塞感なのでしょうか。 幕の降りた後、エンディングテーマは、 エルトン・ジョンのダイアナ妃追悼の歌。 "Good Bye...."と云う歌声が未だ流れています。 本当に、熱海殺人事件はこれで終わってしまうのでしょうか。 |