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この日は、詰め襟にセーラー服と云う中学生らしきの 一群がいました。修学旅行なのでしょうか。 こんな若い時から、こんな素晴らしい芝居が観られるなんて、 羨ましい時代になったものです。 でも、こんなものを観たばっかりに 道を踏みあやまって(笑)、 役者を目指す人も出てくるのでしょうね。 |
ステージ上には、ジャスパー・ジョーンズを思い起こさせる 人を形取った石(と云う設定)のオブジェが配されています。 ホールには、古き良き時代のフォークソングが流れています。 これは第三舞台のステージ?、 と思わせるような雰囲気の中、芝居が始まりました 暗転、 予想通り、人のオブジェが役者に入れ替わっています。 「なあんだ、思った通り」と思っている矢庭に 野田のセリフが響きわたります。 ゾクゾクっと全身が泡立ちます。 ステージの上には野田の姿は見あたらず、 いったいどこにいるんだ、と声の在処を探すと、 なんと奥の壁に取り付けてある足踏みに取り付いていたのです。 芝居の出だしから、まんまとやられてしまいました。 |
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独特のセリフ回しによるリズム感のある美しい日本語、 肉体の躍動を存分に見せるパフォーマンス、 役者と舞台装置の配置に見せるオブジェ的な美、 なによりもその光の使い方の美しさ、 野田秀樹の舞台は、総合芸術です。 さて、芝居のはねた後は、 お決まりのドゥ・マゴのオープンテラスです。 この日は、初夏のような暖かい日で、 心の中も豊かに冷えたシャンパンで乾杯すれば、 はじける泡に星空が溶けて行きそうでした。 |