野田版

パンドラの鐘


作・演出 野田秀樹
出演:堤真一、天海祐希、富田靖子、古田新太、野田秀樹、他
99年11月17日
於:世田谷パブリックシアター


エレベータ

エレベーターを登りパブリックシアターの
ロビーに入ると、清志郎が流れています。
「トランジスタ・ラジオ」や「雨上がりの夜空に」
なんかは、私の様な年代の人間には、
とてつもなく懐かしいものです。

でも、何で清志郎なんだろう?
と芝居が始まるまでずぅーと妙に思っていました。
さて開演間近、場内の明かりが落ちかけた時、
清志郎の「君が代」が大音響で場内に
流れて来ました。

なるほど、そう云う事だったんですね。
言葉遊びに溢れたセリフ、
意味など無いのではないかと思われるその中に
暗示されている物語の意味、
ダイナミックな物語の展開とそれをサポートする音楽、
等々久々に遊民社時代の野田芝居を観る思いでした。
改めて、野田秀樹は天才です。
こんな天才と同時代に生きた事を幸せに思いました。
チケット
三軒茶屋駅のポスター 天海祐希は、完璧なほどチャーミングで美しい。
この世にこんな女性が居るかと訝るほどです。
さすがは宝塚のトップ女優さんです。
これだけでもこの芝居を観る価値がある
と云うものです。
と同時に、蜷川版ではこれを大竹しのぶが
演る訳ですから、これを思うだけでも、
またワクワクします。
さて、物語にはモチーフとして
二二六事件、太平洋戦争、長崎、原爆と
近代日本の政治的な原風景が取り上げられています。
まるでつか芝居を観る思いです。
2000年になる前に記念碑的な芝居を書きたかった、
と野田はパンフレットに書いていましたが、
とは云え、野田秀樹にすらこう云う芝居を
書かせてしまうこの時代、何か複雑な気持ちがします。

次は蜷川版「パンドラの鐘」です。
布陣から察すると、野田版とは全く違う芝居になりそうな
雰囲気です。
さて、蜷川幸雄はどんな風に受けて立つのでしょう。
パンフの表紙

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