野田地図第8回公演

カノン


作・演出 野田秀樹
出演:唐沢寿明、鈴木京香、串田和美、野田秀樹、他
2000年4月19日マチネ
於:文化村シアターコクーン


シアターコクーン入り口

前回の「パンドラ」に続き、場内はロック系の
音楽が流れています。
70年代の音楽です。
原風景にこだわったと云うこの芝居、
こんな所からも、原風景です。

さて、パンフレットで野田さんから
「わかるひとにはこれだと分かる原風景」
と謎をかけられたまま芝居は始まりました。
芝居の間中、ずぅーと何だろうと引っかかっていましたが、
ラストシーン、将に稲妻の様にその謎が解けました。
それこそ、幾重にも下層に追いやられていたその風景が
鮮やかに蘇ってきてしまった。
こんな経験は初めてです。

「浅間山荘だっ!」

ハンマーボールが出てきて建て屋を壊し始めた所では、
未だピンと来ませんでしたが、
その光景にオーバーラップしてヘリの爆音、
ババババッと云う不気味なあの音。
その刹那、あのテレビの中の惨劇がまざまざと
プレイバックされてきてしまいました。
チケット
チラシ 私、あの風景をリアルタイムで共有して来ています。

野田さんは原風景を描いておきたかったと云う事ですが、
文字通り「原風景」として芝居の中でも共有してしまった事が
この芝居を観るのに本当に良かった事なのか
疑問になってしまいます。

むしろ知らない世代の人の方が、
純粋に芝居として楽しめたのではないかと
ちょっと残念に思います。

それほど、あの原風景はインパクトの強い
ものですよねぇ、同世代の方。
さて、鈴木京香さん。
綺麗ですよね。

予想よりずぅーと頑張っていたし、
エンディングに行くに従い、狂気を前面に出してゆく
感じなどは、大したものだと思いました。

まあしかし、やっぱり弱い、
と云わざるを得ないのでしょう。

野田さんはこの芝居、カルメンの本歌取りでもある、
と云っていますが、
そう云われないと、どうしてもカルメンのイメージは
湧いて来ません。

演出家がそう云う風に云いさえしなければ
十分合格点だと思いますが、
そう云ったからには、ちょっと弱い。
京香さん、次回の舞台のお楽しみといった所でしょう。

ところで、マチネの後、ドゥ・マゴの
オープンエアでお茶を飲んでおりますと、
休憩中の役者さんたちが、ふらふらと
目の前を通ってゆくではありませんか。
私、大森さんと手塚さんを見ました。
マチネの思いがけない収穫でした。
芝居のはねた後のドゥ・マゴ

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