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前回の「パンドラ」に続き、場内はロック系の 音楽が流れています。 70年代の音楽です。 原風景にこだわったと云うこの芝居、 こんな所からも、原風景です。 さて、パンフレットで野田さんから 「わかるひとにはこれだと分かる原風景」 と謎をかけられたまま芝居は始まりました。 |
芝居の間中、ずぅーと何だろうと引っかかっていましたが、 ラストシーン、将に稲妻の様にその謎が解けました。 それこそ、幾重にも下層に追いやられていたその風景が 鮮やかに蘇ってきてしまった。 こんな経験は初めてです。 「浅間山荘だっ!」 ハンマーボールが出てきて建て屋を壊し始めた所では、 未だピンと来ませんでしたが、 その光景にオーバーラップしてヘリの爆音、 ババババッと云う不気味なあの音。 その刹那、あのテレビの中の惨劇がまざまざと プレイバックされてきてしまいました。 |
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私、あの風景をリアルタイムで共有して来ています。 野田さんは原風景を描いておきたかったと云う事ですが、 文字通り「原風景」として芝居の中でも共有してしまった事が この芝居を観るのに本当に良かった事なのか 疑問になってしまいます。 むしろ知らない世代の人の方が、 純粋に芝居として楽しめたのではないかと ちょっと残念に思います。 それほど、あの原風景はインパクトの強い ものですよねぇ、同世代の方。 |
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さて、鈴木京香さん。 綺麗ですよね。 予想よりずぅーと頑張っていたし、 エンディングに行くに従い、狂気を前面に出してゆく 感じなどは、大したものだと思いました。 まあしかし、やっぱり弱い、 と云わざるを得ないのでしょう。 野田さんはこの芝居、カルメンの本歌取りでもある、 と云っていますが、 そう云われないと、どうしてもカルメンのイメージは 湧いて来ません。 演出家がそう云う風に云いさえしなければ 十分合格点だと思いますが、 そう云ったからには、ちょっと弱い。 京香さん、次回の舞台のお楽しみといった所でしょう。 ところで、マチネの後、ドゥ・マゴの オープンエアでお茶を飲んでおりますと、 休憩中の役者さんたちが、ふらふらと 目の前を通ってゆくではありませんか。 私、大森さんと手塚さんを見ました。 マチネの思いがけない収穫でした。 |